まずは自分の成果を出すことに集中しましょう。成果を出したり、成果を出すべく奮闘する姿で一目置かせるのです。そうすれば過去のことは忘れやすくなり、あなたの印象はさらによくなるばかりです。

 ひょっとしたら、会社の評価を受けて、その人をコントロールできる立場にあなたの方が早くなるかもしれません。何より、仕事を頑張れば、あなた自身がその一件を早く忘れられます。あんなことをひきずっていたのはアホだったなあと思いなおすようになるでしょう。

 済んだことは忘れることです。あまりに理不尽なら不満顔になるのも仕方ないでしょう。ただ、今後は「世の中は理不尽さにあふれている」と思いなおすことです。それが当たり前という前提になればいいのです。

 私はもうそういう意味では悟っていて、そんな理不尽な状況は起こって当たり前と思っていますから、泰然と構えます。

 海外にいると日本とは違う意味で、理不尽なことしかおきません。そんなことでいちいち感情を乱していては「頼りないやつ」「感情をコントールできない弱い人間」の烙印をおされます。

 世界共通で高い評価を受けるには「あいつはいつも感情が一定」と思われることです。そうすれば人徳があり、能力に自信がある人物と思われ、理不尽な人間から大人物まで、評価してくれる一方です。何か理不尽なことを言われても、笑顔で「ノープロブレム」「ははは、そんなこともあるよ」という対応です。あるいは、「指摘してくれてありがとう」と嫌味なく言います。

 また、陰口を言いたくてたまらないとのこと。これは、全く言わない方がいいです。悪口を言うことに何の意味もありません。自分の人間としての器の小ささを宣伝するようなものです。

 そして、陰口はどんな形で伝搬をコントロールしようとしても無理です。必ず相手に伝わり、相手の憎しみは倍増します。全く何のプラスにもなりません。

 あなたがすべきことは、忘れること、本業に集中すること、友人や家族と楽しい時間を過ごすこと、奮発してすごくおいしいものを食べること。これらでだいたい見事にガス抜きになります。いつまでもうじうじ憎しみをかかえていると病気にもなりますよ。

 人徳がない、弱い人間と思われ評価も下がり、仕事の質も給料も昇進もダウン間違いないです。

 物事は主観的なとらえ方が全てです。人生には理不尽しかないと悟れば、たいていのことは我慢できます。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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