たけやさんがオススメするのは、小学2、3年生になったら、お年玉をいくら貯金して、いくら使うかを親子で相談して決めるという方法だ。そして、使うお金は子どもに任せることが大事だという。「なんでこんなものを……」と止めたくなるほど無駄遣いをしたり、お金を落としてしまったり、小さな失敗を積み重ねることでお金の大切さや正しい金銭感覚が身につくのだ。

 また、全額を貯金する場合も、子ども名義の銀行口座を一緒に作りに行き、毎年記帳して貯金額を見せることで、子どもも納得しお金を管理する意識が芽生えるという。そして小学3、4年生になったら、自分の貯金から少し大きな買い物をしてみることを勧める。

 たけやさん自身も、娘が小学4年生のころ「自転車を自分で買ってみない? そのかわり、自分の好きなものを選んでいいから」と提案。最初は渋々受け入れた娘だったが、自分で自転車屋に行ってカタログを集め、タイプや金額をリサーチ。ギアを何段にするか、自動点灯のライトを付けるかなど細かなオプションと予算を勘案して2万7千円の自転車をゲットしたという。自分のお金で買う経験をすることで、キャラクター使用料やお店側の在庫数を含めたものの値段設定、新品と中古のメリット・デメリットなど、ものを買うときの目利きができるようになっていく。そして親に買ってもらったものよりも大事に使うようにもなるのだという。

 しかし、たけやさんが驚いたのは、娘が資金調達までしたことだった。

「ある日、娘はカタログを持って祖父母の家に行き、こんな自転車が欲しくて、自分で買おうと思うから協力してほしいとプレゼンしたんです。交渉の末、1万円の軍資金を手にしました。自分の味方やスポンサーを探すのは、社会に出ても活かせる能力です。それを見ていた弟も小学5年のときに同じように自転車を買うことになり、姉の手法を真似しましたが、息子はうまくプレゼンできず軍資金をもらうことができませんでした。失敗も大事な経験です。お金の使い方には性格が出るもので、姉は着実に貯めて欲しいものを手にしますが、弟はお小遣い当日に使い切ってしまうタイプ。それがわかれば将来の仕事を考えるヒントも見えてくるのではと思います」

次のページ
親から不安の声も…