夏の甲子園で早実を優勝に導いた斎藤佑樹 (c)朝日新聞社
夏の甲子園で早実を優勝に導いた斎藤佑樹 (c)朝日新聞社

 大阪桐蔭の春夏連覇が大きな話題となった今年の高校野球。春は90回、夏は100回の記念大会ということもあり、例年以上の盛り上がりを見せ、夏は金足農(秋田)フィーバーにも沸いた。来年3月の選抜大会までは平成で行われるが、夏の選手権は新元号になる。そこで、今回は平成の30年間の“高校野球最強チーム”をランキング形式で選出したい。

※春、夏の成績は甲子園大会の成績。チーム名にある「元○○」は、野球選手として現役を引退したことを示す。社会人選手の場合、引退後も企業にそのまま所属している場合もある。

■第10位タイ:駒大苫小牧(南北海道・2006年、平成18年)
春:出場辞退 夏:準優勝
主な選手:田中将大(ヤンキース) 本間篤史(元JR北海道)

■第10位タイ:早稲田実(西東京・2006年、平成18年)
春:ベスト8 夏:優勝
主な選手:斎藤佑樹(日本ハム) 後藤貴司(元日本製紙石巻)

 10位は選びきれず、歴史に残る決勝戦を演じた2チームをタイとして選出した。駒大苫小牧は今回選んだ中で唯一夏の優勝を逃したチームだが、前年秋の明治神宮大会では圧倒的な強さを誇り、世代最強になってもおかしくない実力だった。惜しまれるのは選抜前の不祥事と、夏の田中の体調不良。勝負ごとに「たら、れば」は禁物だが、万全の状態で臨めば春夏連覇、夏の甲子園三連覇の可能性もあっただろう。

 その駒大苫小牧を破った早稲田実は、やはり夏の斎藤の快投が鮮やかだ。2回戦では前の試合で特大ホームランを放っていた中田翔(大阪桐蔭→日本ハム)を3三振と完璧に封じ込め、大会を追うごとに調子を上げて見事に頂点に上り詰めた。プロ野球では苦しんでいるが、あの夏の斎藤の輝きは何年たっても語り継がれるものだろう。

■第9位:西日本短大付(福岡・1992年、平成4年)
春:不出場 夏:優勝
主な選手:森尾和貴(元新日鐵八幡)

 数々の好投手を生んだ平成の高校野球だが、結果だけで見れば1992年夏の森尾を超える投手はいないだろう。5試合全てを一人で投げ抜き失点はわずかに1。四死球は4とその安定感は特筆すべきものである。当時は休養日のなかった時代であり3回戦から決勝まで4連投となったが、その疲れを全く感じさせないピッチングでチームを頂点へ導いた。高校野球の長い歴史に残る名投手と言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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