一方で、プロジェクトの賛同者の中には、「年賀状を送りたいけれど、送る相手がいない」という人もいた。

 ココルームは、おっちゃんたちに年賀状を送ることを勧めているわけではない。上田さんは言う。「本当は自分が生活している場所で、年賀状が1枚も届かなくて寂しい、と思っているかもしれない人に送ったらいいと思います。でも、釜ケ崎芸術大学などでおじさんたちと出会っていて、年賀状を送ってみたいという人がいたら参加してみてほしい」

 自分が飲んだビールの缶でからくり人形を自作する70代男性。絵や俳句が好きだが、お酒の飲みすぎで声がかすれ、杖が必要になった70代男性。可愛らしい絵を描く、ポーカーフェイスの60代男性。識字教室に通う、お出かけが好きな70代男性。朝の散歩を欠かさず、時々、ココルームに草花を持って来てくれる70代男性。さまざまなおっちゃんが、年賀状を心待ちにしている。

「あけましておめでとう」。使い古された一言を書くのが楽しみになった。(ライター・南文枝)