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「年賀状くれへんか」 西成のおっちゃんの声拾った“年賀状プロジェクト”とは

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南文枝dot.
上田さんが、おっちゃんから届いた年賀状を見せてくれた

上田さんが、おっちゃんから届いた年賀状を見せてくれた

ココルームが運営するゲストハウスの壁や天井には、おっちゃんたちの書や俳句などの作品がびっしり。「おっちゃんたちの描いた絵はがきを販売するプロジェクトも始めました」(上田さん)

ココルームが運営するゲストハウスの壁や天井には、おっちゃんたちの書や俳句などの作品がびっしり。「おっちゃんたちの描いた絵はがきを販売するプロジェクトも始めました」(上田さん)

 上田さんの友人らも協力してくれた。イギリス在住の友人に加え、カナダで子育て中の友人も「今、誰かのために何かすることができていないけれど、釜ケ崎のおじさんに年賀状を送ることはできる」と年賀状を書いて送ってくれた。海外からの年賀状に驚いたおじさんは、「何か来た。どうしよう」とゲストハウスに持ってきたそうだ。

 年賀状を受け取ったおっちゃんたちは喜び、いそいそと返事を書いた。あるおっちゃんは、粘土でお地蔵さんを作って色を塗り、ハガキに張り付けた。字が上手く書けないおっちゃんには、上田さんらココルームのスタッフが、年賀状をくれた人の宛名を1枚1枚紙に書き、それを見ながら自分で書いてもらった。ちょうど寄付された画用紙と切手があったので、返信に使ってもらった。

 年賀状をきっかけに、見知らぬ人との交流が始まったおっちゃんもいる。文学好きの70代の男性は、年賀状をくれた年上の女性と、週1回、文通をしている。他にも手紙をやり取りしている人がいるという。

 大阪府貝塚市内の小学校に通う有志の児童らからも、おっちゃんたちに年賀状が届いた。上田さんは「『あけましておめでとう』といったよく使われる言葉でも、わざわざ書いて送ってくれたという気持ちがうれしかった」と話す。年賀状を受け取ったおっちゃんからは「去年もらった子どもに年賀状を送っていいかな」と相談された。上田さんは「学校に送ったらいいんちゃう」と返したという。

「今年もやってよ! 年賀状プロジェクト!」

 おっちゃんたちからまた声がかかった。上田さんは、再び釜ケ崎で暮らすおっちゃん、おばちゃんに「年賀状がほしいと思う人は連絡してください」と呼びかけている。12月上旬までに、約10人が手を挙げた。そして、彼・彼女らに年賀状を送ってみたい人を募っている。賛同者には、おっちゃんやおばちゃんの同意の下、送り先や近況を伝える。

「プロジェクトをやって、『聞いてみるもんやな』と思いました。私はこれまで年賀状について深く考えたことがなかったけれど、プライドもあるおじさんたちが、一段降りて頼んできた。おじさんたちが誰かとつながったり、やりとりがあったりすることは大事なことなのだろう、と思います」(上田さん) 


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