元ヤクルト・八重樫幸雄氏 (c)朝日新聞社
元ヤクルト・八重樫幸雄氏 (c)朝日新聞社

 ソフトバンクの日本シリーズ連覇で幕を閉じた今年のプロ野球。新たなスターの誕生もあったが、岩瀬仁紀(中日)、松井稼頭央(西武)、新井貴浩(広島)など多くの名選手がユニフォームを脱ぐ決断をした。また、西岡剛(阪神)、中島宏之(オリックス)など実績のあるベテランも新天地を探すこととなった。その一方で、松坂大輔(中日)は日本球界復帰後初勝利を含む6勝をマークし、2000本安打を達成した福浦和也(ロッテ)も現役続行を表明している。そこで今回は自身も24年間現役でプレーし、その後も長くコーチ、スカウトとして多くの選手を見てきた八重樫幸雄さんに長く現役を続けられる選手の共通点、復活できる選手の条件などをうかがった。

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-今年も多くのベテラン選手が引退しましたが、八重樫さんが長年プロ野球の世界にいて長くプレーできる選手の特徴として挙げられる点はどういったものがあるでしょうか?

「まずは自分のことだけでなくチーム全体のことを考えられるということですね。そういう選手はレギュラーを外れてもチームのプラスになります。あとは自分の力の衰えを納得できること。誰でも衰えは来ますから、そうなったときに受け入れられるかということは重要だと思いますね」

-八重樫さんご自身はレギュラーから控えに回るとなった時にどう感じられましたか?

「最初はやっぱり納得できなかったですよ。でも、守備の時のフットワークや体のキレは衰えたな、と自分でも感じていましたね。ずっとレギュラーで出ているときよりも、出たり出なかったりの時の方が疲れも感じるんですね。試合中の運動量も減るので意識的にランニングの量を増やしたりしました。ですが、自分で守備はもう厳しいなと納得できたところがあったので、バッティングに集中しようと切り替えて代打に専念できたと思います」

-八重樫さんはレギュラーで活躍されていましたが、レギュラーではないのに意外と長く現役を続ける選手もいます。コーチの時にご覧になっていて、そういった選手たちは何が優れていると思いますか?

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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レギュラーでないのに現役を続ける選手は何が優れているのか