自分の時間が持てるようになったそんな山口さんのところに、同窓会の幹事会の知らせが届く。

「同窓会がきっかけで、メールの交換をするようになった友人から、『幹事会があるから来ないか?』と連絡があったんです。私、何を思ったか、『◯◯君も誘ってくれるなら、行くよ』って、リクエストしちゃったんです」

 ◯◯君とは、同窓会で会って気になっていた彼のこと。

 友人は、山口さんとは言わず、同級生からお誘いがあったと伝え、彼も幹事会に来ることになった。

■気になる彼に再会! 「食事に行こう」と誘われて

 同窓会から約1年10カ月後、山口さんは気になる彼と再会した。

「彼に近寄って、『来てほしいってリクエストしたのは私よ』って、伝えたんです。彼が独身かも既婚かも知りませんでしたから、異性としてというより、友人としての興味で、つき合いたいとか、結婚したいとか、本当にまったく考えてなかったんですよ。だから、あっけらかんとそんなことも言えたんでしょうけど。でも聞けば、彼は7年前に奥さんを亡くし、独身。子どももいませんでした」

 一方、彼はというと……。こんなことを女性に言われたものだから、心に火が点いたのか、山口さんを女性として意識し始めた。

「幹事会の帰りに携帯電話の番号を交換して。次の日には彼から『食事に行こう!』って連絡がありました。このときは断りましたけれど」

 屈託のない山口さんに彼は急激に惹かれていったのかもしれない。山口さんも意識下では彼のことを異性としても気に入っていたはず。お互いの気持ちが同じになるのには、そんなに時間はかからなかった。(取材・文/時政美由紀)

時政美由紀(ときまさみゆき)
(株)マッチボックス代表。出版社勤務後、フリー編集者に。暮らし、食、健康などの実用書の企画、編集を多数手がけている