「本当におさまる選手なのでサコくんは。そこらへんはうまく使って行きながら、2列目の選手もやりやすさは感じながらやるんじゃないかと思うし、自分もより縦に入れやすくはなると思います」

 3人の中でも興味深いのが堂安のプレーの変化だ。コスタリカ戦ではタイミングよくペナルティエリア内に飛び込んで行くシーンもあったが、仕掛けのポイントは少しゴールから遠目だった。1トップに大迫が入ることでサイドからでも積極的にゴールを目指しやすくなるはず。南野や中島とのコンビネーションに関して「フィーリングですね」と語る堂安だが、それを発揮する場所は高い位置に設定したいと考えている。

「中盤でそういうプレーをしても遠いところではあるので、しっかりシュートにつながるような場所で。少しリスクもあると思うので、そういうプレーをするのは。そういうところは自分の良さを出すためのポジションを見つけていく必要があると思います」

 そうイメージを語る堂安がどう大迫と絡んでゴールに直結するプレーを増やして行けるかは、比較的人材が豊富な2列目での生き残りにも影響してくるポイントだ。アジアカップまでの期間を「サバイバル」と位置付ける南野にとっても大迫といかに良好な縦関係を築けるかは生命線になる。中島は今年3月の欧州遠征でも大迫とプレーし、マリ戦では途中出場からゴールを決めているが、スタメンで新しい組み合わせの中で改めて機能性が問われる。

 もっとも中島の場合は堂安や南野に比べて、ゴールへの飛び出しよりはチャンスメークやバイタルエリアからミドルシュートを狙うプレーが基本になる。大迫が相手ディフェンスを押し下げて生じたスペースで前を向き、そこから機転の利いたラストパスやドリブルからの正確なシュートに結びつける形はシンプルに作りやすい。もちろん流れが向けば、中島のクロスやラストパスから大迫が危険なフィニッシュに持ち込むシーンも生み出せる。

 今回は小林と浅野が怪我で辞退した。北川航也と川又堅碁が加わり、彼らと2列目の組み合わせも楽しみだが、やはり前線の主軸になるのは大迫と想定できる。今回は大迫と同じロシア組の原口元気、またコスタリカ戦で途中出場からゴールでアピールした伊東純也という3人とはタイプの異なる2列目のアタッカーもおり、森保監督がどういったチョイスをして行くか気になるところだが、大迫といかにピッチで良好な関係を築いてゴールに結びつくプレーができるか。その結果が今後のアジア杯に向けたメンバー選考にも大きく影響しそうだ。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の“天才能”」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。