下田さんはアメリカ、アフリカなど、海外生活の経験もあり、奥さんも同様にブラジル、カナダなどちょくちょく旅行に行くほど海外が好き。物理的な距離は二人とも問題ではなかった。

「秋にやり取りが始まり、年末には私が福岡に会いに行きました。レストランを予約してくれていて、食事をして、たくさん話をして、おもしろくて、表情豊かな愛嬌のある人だなって思いました」

 年が明けて、今度は彼女につくばに来てもらうことに。

「家はあるけど、介護用にリフォームされていて、田んぼの真ん中に立ってますから、まずは環境を見てもらおうと。でも心配には及びませんでした。家を見るなり気に入ってくれて」

 彼女はお父さんを交通事故で早くに亡くしていた。実家のお母さんに挨拶に行くまでは、「ネットで知り合うなんて、だまされているんじゃないか」と、心配されたが、正式に結婚の許しをもらうために挨拶に行くと、その不安も解消。お義母さんも快諾してくれた。

■ハネムーンに行く前にハネムーンベビー!

 2016年9月、仲間に祝福されての結婚式。

「ずっとつき合ってたんでしょ、と参列者からからかわれました(笑)」と下田さん。

奥さんと知り合って、ちょうど1年、たった1年でした。
「10月に新婚旅行にバリ島へ行く予定で。そしたら、直前に家内の体調が悪くなって。ハネムーンベビーでした! まだ行ってなかったけど(笑)。奮発したけど、バリ島はキャンセルしましたよ」

 翌年、元気な男の子が生まれ、下田さんは53歳でパパになる。

「年を取っての結婚で、しかも子どもまで生まれて、不安はもちろんありますが、健康にさえ気をつければ、これまで生きてきた経験と知恵でどうにでもなる、と思っています。平均寿命でいけば、男の方が先に死ぬし、子どもが成人するまではとにかく元気でいなきゃ、って。それに、『距離は関係ない』と言ってこちらに来てくれた家内ですが、まだまだ友人も少ないし、すぐ子育てに入ってしまったので、大変な思いをさせていると思ってます。これから、フラワーアレンジメントの講座があるんですけど、気分転換に家内を連れていってあげようと思ってます」

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初めて奥さんに会う前に訪ねた人とは…