スペインで着実な成長を見せている柴崎岳 (c)朝日新聞社
スペインで着実な成長を見せている柴崎岳 (c)朝日新聞社

 ロシアW杯への国内壮行試合ともなるガーナ戦に向け、日本代表の西野朗監督は[3-4-2-1]にトライしている。各ポジションで競争は発生しているが、攻守の要となるボランチは練習から見ると山口蛍を軸に柴崎岳、大島僚太がもう1枚のポジションを競う状況で、井手口陽介と三竿健斗は基本的に山口の控え的な立ち位置で、23人枠の当落線上にある状況だ。

 ボランチの組み合わせについて柴崎は「守備が得意な選手と攻撃が得意な選手の組み方を今はしているので、なるべく僕がボールを触って攻撃面での組み立てをしたい」と語る。大島も基本的に攻撃の組み立てで持ち味を発揮するタイプであり、攻守のバランスを考えればオーソドックスには二者択一となる。ただ、途中から点を取りにいかなければいけないスクランブルな状況も想定される。

「もっともっと攻勢に出なきゃいけない時は同じようなタイプと組んだ時はいい連携を取ったり、お互いコミュニケーションを取ってバランスを取ることが大事だと思います」

 柴崎がそう語るように、状況によっては大島との併用もあるかもしれない。ただ、どちらにしても[3-4-2-1]でボランチが意識しなければいけないのは全体とのバランスだ。常にボランチが攻撃にも守備にも関わり、両サイド、2シャドー、3バックをサポートすることで相手に対して数的優位を作り、パスの選択肢を増やすことができるのだ。

「僕らのところのポジションをあまり失わないように、相手にそこでスペースを奪われないようにしないといけない」と柴崎が語るように、彼らがボールより前に出たり、3バックと距離をあけてしまうとボールを失った時にそこを突かれ、3バックが相手の攻撃に晒されるようにあってしまう。全体の中でも絶妙なバランスワークが求められるのだ。

 柴崎はスペインの地で大きく成長しており、合宿中に26歳の誕生日をむかえて「いい年にできるように、1つのW杯というのがあるので、本当にいい結果を残したい」と意気込みを新たにしている。スペインの厳しい環境にもまれながら着実に成長しており、攻撃の組み立てはもちろん世界の強豪国と戦うところでも頼もしい存在だ。

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大島は守備意識が急速に向上