「後に入ってくる生徒たちにも伝わっていく形で100万円分の何かを残せたら……と考えて、本を贈らせていただきました」
座右の銘は「凡事徹底」。当たり前のことを徹底的に行う、という意味だ。その信念を得たのも広尾学園だった。何か一つでも毎日継続して行うことを重視する学習環境のなかで、“続けてがんばる姿勢”が培われた。
「高校1年の夏休みに約30キロの減量に成功したのも、その一例かもしれません。自分で考え、それまで長年、1日5食食べていたのを3食に戻して、毎日2時間のランニング。これをひたすら続けました。夏休み前と後ではまったく違う見た目になっていたので、2学期の初日に学園に行ったら、“貴嶺の席に変な転校生がいるぞ”と、クラスメートに驚かれてしまいました(笑)」
大学卒業と同時にタレント活動に終止符を打ち、金融業界に就職した。
「いじめのない世の中をつくるために、政治家をめざそうと、大学で政治学を学びました。ただ、政治家になる前にちゃんと社会で経験を積んでおきたいという思いもあって、企業に就職することにしました。中高のクラスメートとはいまも仲良しで、プランケット先生のアートの展覧会など、ちょくちょく機会を見つけて集まっています。広尾学園は、学ぶことに関するサポート体制が徹底していると同時に、生徒一人ひとりの心にとことん寄り添ってくれる学園。いまもその姿勢は生き続けていると思います」
(文・牧野容子)