野手ではどうだろうか。日本野球の長い歴史の中でも、やはり長嶋茂雄は外せない。立教大から1958年に巨人入りし、オープン戦から7本塁打の大暴れ。注目の開幕戦は金田正一を前に4打席連続三振に倒れたが、その後は圧倒的な打撃センスを発揮して4番打者としてリーグ優勝に貢献。1年目から全130試合に出場し、打率.305、29本塁打、92打点で本塁打王&打点王の二冠を獲得。37盗塁もマークし、9月19日の広島戦(後楽園)での「一塁ベース踏み忘れでの幻の本塁打」がなければ“トリプルスリー達成”の内容だった。

 その長嶋の29本塁打を高卒1年目ながら上回ったのが、清原和博だった。PL学園高からドラフト1位で西武に入団した1986年、オープン戦ではノーアーチに終わったが、開幕2戦目に途中出場でプロ初出場すると、2打席目にプロ初本塁打をマーク。前半戦を打率.252、11本塁打で終えると、ファン投票1位で選出されたオールスターを終えて以降はさらにペースを上げ、最終的に1959年の桑田武(大洋)の新人最多本塁打記録に並ぶ31本塁打を放った。同時に打率.304、78打点もマーク。リーグ優勝を果たした後の日本シリーズでは、全試合で4番を務めて見事、日本一に輝いた。

 その他では、1年目から打率.290、18本塁打、54打点の好成績を残した岡田彰布(1980年、阪神)、その翌年に打率.311、21本塁打、55打点、25盗塁をマークした石毛宏典(1981年、西武)、打率.268、22本塁打、67打点の原辰徳(1981年、巨人)の2人が目立ち、近年では56盗塁をマークした小坂誠(1997年、ロッテ)、39盗塁をマークした赤星憲広(2001年、阪神)がいる。投手に比べて野手の新人が結果を残すのは非常に難しい世界だが、その中でもしっかりと後の活躍へと繋がるルーキーイヤーを過ごした者が多い。そして今年もどんなルーキーが暴れ回るのか。シーズンはまだ、始まったばかりだ。