こうした“空気感”は、野球場にはないと断言できる。

 試合を行うバスケットコートも、3人制の場合は横15メートル、縦11メートルで、通常の5人制の横15メートル、縦28メートルの半分以下のスペースで済む。こうした“省スペース”の特性を生かし、3×3のプレミアリーグでは、ショッピングモールの一角や街中の広場などでの試合開催が可能で、実際に開催実績もある。

 一方で、野球場は数万人レベルの観客が収容できるが、グラウンドは両翼100メートル前後、本塁からバックスクリーンまで120メートル前後、これにファウルゾーンが加わる。つまり、単純計算でも、3×3のコートが70~80面近くは入ってしまうスペースがある。

 その広さで「音が拡散しまったりする。そもそも、地方球場は、エンターテイメントを前提につくられていないところがある」と坂口理事長は指摘する。

 さらに、昨年の四国ILの1試合平均の観客動員は622人。会場の大きさと球場の観客動員とのバランスが悪いのは否めず「大きなコンテンツに、もてあましている部分がある。ショッピングモールのバスケットコートでの600人と、松山の「坊っちゃんスタジアム」の600人では、雰囲気も見た感じも違うでしょ?」という坂口理事長の指摘にはうなずかざるを得ない。

 それでも「四国で1回600人、年40回、毎回お客さんが入るようなイベントはあるのかと言えば、なかなかないと思う」と坂口理事長。つまり、集客力の点では独立リーグに分があるが、会場の魅力やエンタテイメント性では、明らかに3人制バスケが優位に立つ。

 このように、プロ野球にはなく、また創り出すことが難しい魅力や特色、さらには客層を持った別のプロスポーツとの連携を通して、新たなファン層を引き込む「きっかけ」にしたいという狙いが、今回の新機軸を打ち出した背景にある。

 3人制バスケは、2年後の東京五輪で正式種目として採用されており、今後のさらなる普及、競技人口や人気の拡大が見込まれている。

次のページ
競技、ビジネスの観点からも、組まない手はない