天皇陛下の執刀医・天野篤医師も奮起した、外科医を「本気」にさせるいい紹介状とは? (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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天皇陛下の執刀医・天野篤医師も奮起した、外科医を「本気」にさせるいい紹介状とは?

杉村健dot.#ヘルス#病気#病院
天野篤医師と目黒泰一郎医師(撮影/門間新弥)

天野篤医師と目黒泰一郎医師(撮影/門間新弥)

目黒:それは光栄なことです。

天野:循環器内科医は、目の前の患者さんをカテーテルなどの内科的治療で治すことができない状況で「患者さんをなんとかしてほしい」「手術で治してくれ、頼むぞ」と言って紹介してくるわけですから、循環器内科医が患者さんを思う気持ちを心臓外科医は受け取ります。人間だから「何とかしよう」という気になりますよね。

目黒:私が書いた紹介状がすごいかというとそうでもなく、淡々としたふつうの内容だったと思います。ただ、なぜ宮城県から患者さんを送ることになったのかという背景などを中心に書きました。内容がどうであるかより、遠距離で患者さんを送ること自体が「あなたを信じている」というメッセージでした。

 県内にも心臓外科医がいるのに、それを飛び越して、出身大学の医局とも関係ない天野先生に患者さんを送るのは、ある意味、医療界の"おきて破り"をしているんです。「もう後には引けない」という決断をして紹介状を書いていたので、天野先生も相当プレッシャーを感じていたのではないでしょうか。

天野:そうですね。正直、1件目の症例はあまり覚えていないのですが、あるとき目黒先生がハードルを上げたのがわかったんです。冠動脈の再手術の症例で、バイパスに使ういい血管はすでに使われている。限られた材料で仕上げなければいけない難手術でした。方法をいろいろ考えて、論文も全部見て、経験もすべて出し、手術をしました。それがターニングポイントでしたね。あそこであきらめていたら、今はないなと思います。

目黒:天野先生の手術を受けた患者さんは、短期間で元気になって帰ってきました。しかも合併症もない。それで、だんだん重症度の高い患者さんを送ったんです。

天野:目黒先生に、認められるか否か、二つに一つ。「1例でもつまずいたら、次はないな」と思っていました。また、完璧な状態で患者さんをお返ししないと、仁義を果たせないとも。患者さんの紹介と手術を繰り返していくなかで、個人の技術もチームの力も熟成され、すごく成長させてもらいました。


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