一方、17年に倒産した8405社のうち、業歴が判明した7318件のなかで業歴30年以上の老舗企業は2288件(構成比31.2%)で、構成比は前年より1.0ポイント低下した。ただ、企業倒産に占める老舗企業の構成比は11年以降、7年連続で30%以上を維持している。

 17年に倒産した老舗企業の構成比を産業別にみると、最高は製造業の52.9%(前年51.6%)で半数を占めた。製造業は、輸出企業を中心に大手企業が好業績をあげる一方で、倒産した企業は小・零細企業を主体にしている。資金繰りに余裕が乏しいうえ、人材確保による人件費上昇、経営者の高齢化による事業承継難など、取り巻く経営課題に対応できなかった企業が少なくない。この後、運輸業40.9%(同32.3%)、不動産業36.9%(同31.0%)と続き、10産業のうち、6産業が前年を上回った。

 老舗企業は、不動産や内部留保などの資産が厚く、長年の取引実績で金融機関や取引先の信用を得ているが、金融機関が業績や個人保証、担保などに依存した「日本型金融」から、将来性などを判断して貸出を行う「事業性評価」に動き出し、環境が変化している。また、過去の成功体験から抜け出せず新たな取り組みに遅れたり、グローバル化や多様化するニーズのなかで新たな生産性向上への投資もできず、倒産に至るケースも多い。

 2009年12月に中小企業等金融円滑化法が施行され、業績不振に陥った中小企業は金融機関への返済条件の変更(リスケ)で資金繰りが一時的に緩和した。13年3月に同法の終了後も金融機関がリスケ対応を継続し、苦境に陥っていた企業が倒産を免れ企業の平均寿命は伸び続け、10年からの6年間で倒産企業の平均寿命は1.7年延びていた。

 17年の企業倒産は、9年連続で前年を下回っているが、倒産企業の平均寿命は短命化し始めた。

 坂田課長は「中小企業等円滑化法により延命した企業が、息切れし始めたとも考えられる。代表者の平均年齢が高いほど業績悪化が加速するシビアな現実の中で、老舗企業は自社の強み・弱みなどの実態を見つめ直し、今後の経営にどう活かせるか問われており、ベンチャー企業も一時的なブーム頼りでなく、将来の資金計画を含めた地道な経営を求められている」と話す。(小島清利)