新幹線に乗る際に、自由席に乗りますか? それとも指定席を取りますか? 「お金持ちになりたいなら新幹線では自由席に乗らない方がいい」と話すのは、日本最大級のマネースクール、ファイナンシャルアカデミー代表で『お父さんの「こづかい」は減らすな!』(朝日新聞出版)の著者でもある泉正人さん。泉さんに、その真意を説明してもらいました。
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たとえば東京―新大阪間なら、自由席を使った場合の運賃の合計は13620円、指定席を使った場合の運賃の合計は14450円。つまり、差額の830円が指定席券代金です。
もし自分の勤めている会社が、新幹線の運賃は自由席分までしか認めないという会社だったとしたら、あなたは自由席に座りますか? それとも差額を自腹で払って指定席を取りますか?
自由席を買った場合、座れるとは限りません。しかしずっと立ったまま乗車するのではつらいので、席を確保するために、乗車時間よりも前に並んでおく必要があります。
どれくらい前から並ぶべきかは、乗車する時期や時間帯、乗る駅によります。朝の時間帯なら30分から40分前に並ぶ必要があるかもしれません。そうなると、必然的にその分だけ早起きする必要が出てきます。帰りの時間帯なら、出張終わりで疲れているところなのに、やはり何十分か行列に並んで待つ必要があります。いずれにしてもつらいものがあります。
そしてようやく席を確保できたとしても、3列席の真ん中の窮屈な席だったとしたら、どうでしょうか。もし「新幹線のなかで資料を確認しておこう」「出張報告書を書いてしまおう」などと思っていても、両側に人がいる窮屈さや、早起きした眠さ、出張の疲れが重なって、乗車している間ずっと眠って過ごすことになるかもしれません。
自由席というのは、誰がつけたか知りませんが、うまいネーミングだと思います。「自由」なんて言葉がついていると、誰にもしばられず自分の思いのままに行動できるような、そんな状態をイメージしてしまいます。
でも、「自由席」って、じつは自由ではありません。
自由席というネーミングはついているものの、自由でもなんでもなく、とりあえず席が空いていたら座れる自由があるという感じです。どこでも好きな席に座っていいわけではありません。それどころか席が空いていなかったら座れないこともあるのです。