新たに公開された森友学園との国有地売買交渉で近畿財務局内で法律相談をした文書(撮影/西岡千史)
新たに公開された森友学園との国有地売買交渉で近畿財務局内で法律相談をした文書(撮影/西岡千史)
佐川国税庁長官は、日本税理士会連合会が発行する業界紙「税理士界」(1月15日付)のインタビューに登場し、納税の意義を語っていた
佐川国税庁長官は、日本税理士会連合会が発行する業界紙「税理士界」(1月15日付)のインタビューに登場し、納税の意義を語っていた

 これでもまだ言い逃れをする気なのか。

【写真】満面の笑みでインタビューに答える佐川国税庁長官

 財務省は9日、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、学園との交渉文書などを新たに20件、計300ページ以上にのぼる資料を国会に提出した。同省の佐川宣寿・前理財局長(現・国税庁長官)は国会で「廃棄した」と説明していたが、答弁の“ウソ”がまたもや明らかになった。

 同省は1月、神戸学院大の上脇博之教授による情報公開請求で5件の文書を開示したことで、約8億円の値引きについて同省と学園側が価格交渉していた疑いがさらに強まっていた。今回開示された資料を見ても疑念は深まるばかりだ。

 佐川氏は、昨年4月の国会で「パソコン上のデータは短期間で自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございます」と答弁。メールについても、送受信から60日が経過したメールを自動削除していると同省は説明していた。

 ところが、今回公開された資料の中には、2014年9月1日付で近畿財務局の職員が局内の関係者に送ったメールも含まれていた。その内容は、学園との賃貸借の契約書案などに関するもので、文書の添付ファイルとともに、同省の統括法務監査官に向けて「素人が考えたものですので、これをたたき台にして、ご指導がいただければと思います」と書かれていた。

 同省は、公文書管理法の規定に基づいて保存が必要なメールは残しているとも説明している。だが、なぜ、添付ファイル以外にこのメールが「保存が必要」と判断されて残っていたのかは不明だ。ほかにも交渉過程に関係するメールが残されているのではとの疑問も残る。

 これだけではない。学園が小学校建設後に生徒が集まらず、経営が行き詰まることも想定して交渉方法を検討していた。 

 2015年2月6日付の「定期借地契約の想定問答等について(1統)」と題された文書には、「校舎は完成したものの、生徒が集まらないなどの理由で学校経営が立ち行かなくなり、森友学園が校舎を取壊して更地返還ができなくなった場合に国はどのように対応するのか」など、森友学園が債務不履行になった場合のことを近畿財務局内で議論していた。

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昭恵夫人が関与するまでは強気の交渉だった財務省