沖縄には思わず立ちすくんでしまう資料や聞き入ってしまう話もありましたが、そういうことに心を動かされる時間さえ区切られてしまいました。

 もちろん何十人もの子どもがいるわけですから、しかたがないことですが、やっぱり疑問を感じざるをえませんでした。

 じつは別室から教室へ移ってきて、学校の授業や先生たちのスタンスに違和感を感じていたので、修学旅行を機に「学校を変えたい」とハッキリ思ったんです。そして変えるためには疑問や不満だけではなく改善点を考えようと思い、行き着いたのが「公教育全体の環境整備」でした。

――なるほど。成毛さんは環境整備に向けて、何から取り組みたいと思っていますか?

 やりたい方向性は見えているんですが、現実的な手がかりまでは見えていません。ただ、私の話を聞いて「ぜひ」と声をかけてくれた先生たちが、昨年10月に教職員向けの研修の時間を持たせてくれました。

 研修は学校に対してさまざまな思いを持つ中高生の話をベースにしたワークショップにしました。これを機に教員と生徒の対話の機会をもっとつくりたいと思い、現在は「教員と小中高生対話プロジェクト」と称して、いろんなイベントを重ねていきたいと思っています。

 今後も、どういうかたちになるかはわかりませんが、私なりに夢を追っていければと思っています。

――ありがとうございました。

(聞き手/不登校新聞編集長・石井志昂)

著者プロフィールを見る
石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

石井志昂の記事一覧はこちら