このため政府に注文をつけたり批判したりするのは、事実上、野党の役回りになっているのだ。それは今だけのことではない。かつての民主党政権でも、野党だった自民党に質問時間が長く割り振られていた。

■野党の質問時間が減り続ければ国会が骨抜きになる可能性も

 今回の自民党の削減要求に、野党は「行政を監視する国会の機能が弱まる」「どんな党が与党でも、野党が多く質問するのは当たり前」などと反発している。

 野党が追及を続ける「森友学園」や「加計学園」の問題では、安倍首相本人や妻の昭恵氏の関与の有無が問われている。昨年前半の通常国会でも、これらの問題に野党の質問が集中し、内閣支持率が下落した。野党からは「安倍首相は国会で野党が質問する機会を少しでも削りたいのだろう」との声も上がる。

 では実際に、特別国会で、与党の質問時間が増え野党が減ったことで、どんな影響があったのだろうか。

 2日間あった衆院予算委員会の初日は、従来は午前中で終わる与党の質問が夕方まで続いた。与党は森友学園への国有地売却問題も取り上げたが、「今後どうするのか」という政府の対応を引き出すことを重視。「いったい何があったのか」という、政府の責任を問うような問題には踏み込まなかった。

 一方で質問時間が減った野党も、質問が細切れになったり、質問者ごとにテーマが拡散したりして、十分な追及ができたとは言いがたかった。

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