「Hey! What's up, (一呼吸入る) man?」(やあ、どう…してる?)

「What?」(なに?)

「Sorry,my fuckin' English……」(俺のクソ英語が……)

「What did you say?」(何言った?)

 このとき相手は若い黒人男性で、友達に紹介された程度の関係性。manとfuckの使い方に自信が持てない状況で、聞き直された時点で心が折れてしまった。おまけに照れがあったのか、変な間まで入ってしまった。

 私としては仕事柄、こうしたノリで使うような言葉こそ取材先で使いこなしたいのだが、いざ口に出してみると想像よりも難しかった。

 いまでも言ってみようとは思うものの、もし上手に言えなかったら、怒られるかもしれないなという懸念が強すぎて、どうにもうまくいかない。そんな恥ずかしい思いをした経験のある私からのアドバイスとしては、どうしても使うなら自信をもって堂々とすればいい、ぐらいだ。ただし、使ったとしてもそもそも、自分の母国語に存在していないニュアンスや背景が多分に含まれる言葉であることを忘れないでもらいたい。下手をするととんでもないトラブルにつながってしまうかもしれないからだ。

(文/ジャーナリスト・丸山ゴンザレス、イラスト/majocco)

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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