まず前提条件として、現行の選手権スケジュールを確認しておきたい。

 12月30日に開会式と開幕戦、31日に1回戦、年をまたいだ1月2日に2回戦、1月3日に3回戦、1月5日に準々決勝が行われる。ここまでがひとつのフォーマットだ。1月の第2月曜日にある「成人の日」が決勝と決まっており、中1日を挟んでさかのぼる土曜日が準決勝である。これはその年の暦次第で変動する。そして今年は、この暦が「最悪」の巡りだったパターンだ。日本代表の長友佑都がSNS上で「1週間で5試合なんて」と批判した巡りになるのである。すなわち、第2月曜日が「8日」と最も早く来るパターンで、中1日を挟んでさかのぼる準決勝が6日となる。5日が準々決勝なのは決まっているので、中0日の試合となってしまった。

 参考までに来年の日程がどうなるかというと、第2月曜日は14日なので、ここが決勝戦。12日が準決勝で、5日の準々決勝とは1週間のインターバルが生まれる。カレンダー次第で「7日で5試合」が「13日で5試合」へと良くも悪くも様変わりするのが、現行方式だ。

 こうした過密日程を緩和する術策はいくつか考えられる。一番簡単なのは試合数を減らすことで、極端に言えば16校による大会にしてしまえばすごくイージーに過密日程は緩和されるが、これは誰も幸せにならないだろうから、48校制は維持する前提で考えたい。

 一方、日程緩和の目的をあくまで「選手の健康」とするのなら、単純に試合時間を短縮するという手もある。よく「欧州ではこんな試合日程あり得ない」という批判も聞くが、欧州でもこうした集中開催のカップ戦はある。だが、その場合は試合時間を削るのだ。たとえば、この大会の優秀選手を中心に構成される日本高校サッカー選抜がいつも参加しているデュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)は立て続けに試合をこなす過密日程だが、25分ハーフで行われている。

 個人的には、日程緩和という方向性と矛盾するグループステージ制を採用するなら、この作戦しかないように思う。単純に開催時期を前倒しするだけでは、選手権の前に行われているリーグ戦関連の大会の日程が圧迫されてしまうし、現実的には難しい面もある。それらの大会は全国高体連だけでやっているわけではないからだ。

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試合時間の短縮も効果的?