広島・緒方監督(左)は山路一塁審判に抗議して退場となった (c)朝日新聞社
広島・緒方監督(左)は山路一塁審判に抗議して退場となった (c)朝日新聞社

 2017年もさまざまな出来事があったプロ野球。華々しいニュースの陰でクスッと笑えるニュースもたくさんあった。「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に2017年シーズンの“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は思わず「その気持ちわかります」と共感できそうな「監督編」である。

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 開幕3連敗スタートとつまずいたオリックスが4月4日の西武戦(メットライフドーム)から4連勝。4勝3敗と貯金生活に入った。4連勝目を記録した同8日の日本ハム戦(京セラドーム)の試合後、貯金の感想を聞かれた福良淳一監督は「貯金したことがないからわからない」と苦笑するばかり。

 それもそのはず。チームが貯金をしたのは、森脇浩司前監督時代の2014年終了時の「18」以来、なんと914日ぶり。福良監督自身も、2015年シーズン途中の監督代行時代を含めて、一度も貯金生活を体験したことがなかったのである。それだけに勝率5割で迎えたこの日の日本ハム戦は、監督以下、全員が一丸となって燃えた。

 初回にロメロの2点タイムリー二塁打などで3点を先制。6対0とリードした7回にもロメロの4試合連続となる左越え2ランで駄目を押した。

「3試合連続は何度かあるが、4試合連続は記憶にない。言葉にできないよ」(ロメロ)

 これが3年近くにわたって続いた借金生活からの“サヨナラ弾”となった。福良監督も「いいゲーム。先制、中押し、ダメ押しといい攻撃ができた。みんな、つなぐ意識があったからね」と会心の笑み。

 だが、チームの歯車がかみ合っているうちはよかったが、5月9日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)から6連敗を喫し、4月6日以来の借金生活に逆戻り。勝率5割に戻したのもつかの間、5月17日から泥沼の9連敗を喫し、結局、借金16の4位でシーズンを終えた。2018年シーズンも続投が決まった福良監督は「CSに向けて、若手を底上げしたい」と4年ぶりの勝ち越しとCS進出に意欲を燃やしている。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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