ジャパンの枕が変わっても、本質的に日本代表は同じチームだ。4年経っても、監督が変わっても、課題は変わらない。ここ数カ月は、それを痛感する試合ばかり。

 とはいえ、弱点と長所は表裏一体。この話も、表と裏がある。

 今回のE-1選手権、ほとんど一緒にプレーしていない国内組がチームとして戦うのは、かなり難しいタスクだった。ハリルジャパンは海外組への依存度が高い。韓国の場合、海外組はほとんど攻撃陣のみで、守備ポジションについてはA代表と変わらないベストメンバーだった。

 それを踏まえると、日本は完全なインスタントチームにもかかわらず、短期間でチームの形を作り上げた。これは称賛されてしかるべきだ。監督の指示をよく聞き、すぐに理解し、実行する。組織づくりの手際の良さは、他の国には真似できないのではないか。

 ただし、その裏に潜む弱点。それは一度組織を作ってしまうと、決め事に支配され、動けなくなること。動くリスクを個人が背負えない。

 日本の“組織力”は、間違いなく高い。だが、鈍重だ。フットワークがない。ブレークスルーし、目の前の状況を解決できない。

 これは多くの人が話題にしているが、なぜ、ハリルホジッチは日韓戦の後半半ばまで、何もせずに見守っていたのだろう。明らかに日本は劣勢で、守備もはまらなかったのに。

 このボスニア人監督は、「選手が自分を表現するのを見たい」と、繰り返し語ってきた。問題を抱えた日本を、あえて見守っていたのではないか。良いプレーをする選手は何人かいた。しかし、ハリルホジッチが本当に欲しがる答えを出した選手は、極めて少なかったように思う。

 もちろん、A代表はブラジル戦の課題を、ベルギー戦までに修正したし、浦和レッズもAFCチャンピオンズリーグ決勝ファーストレグの課題を、セカンドレグまでに修正した。たぶん、E-1の日本代表も、次の試合までには解決できるだろう。

 ただ、そういう“準備”でどうにかできることと、できないことがある。試合は常に、何が起こるのかわからないからだ。不測の事態に陥ったとき、試合中にチームをブレークスルーさせる選手。来年3月の親善試合で“追試”に進む選手がいたら、そんなところで違いを見たい。(文・清水英斗)