日本ハム・栗山監督 (c)朝日新聞社
日本ハム・栗山監督 (c)朝日新聞社

 ソフトバンクの2年ぶり日本一で閉幕を迎えた2017年のプロ野球。期待通り、あるいは期待以上の成果を残した球団や、今後につながるチームづくりが進んだ球団もあれば、収穫の乏しいシーズンを送ってしまった球団もある。その背景には選手の好不調、思わぬアクシデントや運といった要素もあるが、指揮官の手腕がもたらした影響もあるだろう。そこで今年1年を振り返り、全12球団監督の働きぶりを査定したい。今回はパ・リーグ編だ。

【伊東勤監督(ロッテ)】 評価:E

 開幕ダッシュに失敗するとそのまま低空飛行を続けた。シーズンオフにデスパイネを放出。代わりに獲得した新外国人のふたりが不調とあって迷走したシーズンだった。さらに投手陣も生え抜きのエース格・石川歩がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)からの不調を脱することができず、投打ともにバランスを欠いた。

 そうした事情はあるにせよ、敗因を選手に押し付けたかのような2軍への懲罰降格、メディアへの選手の叱責はチームをひとつにできなかった。選手たちが前を向きたくても、そうできない環境を作り出していたのは指揮官の責任によるところが大きい。

 ここ数年、鈴木大地、角中勝也以外をレギュラーとして信頼することができず、とっかえひっかえの起用を繰り返してきたそのツケが回ってきた印象だ。メンタルに課題がある清田育宏、中村奨吾らが下を向き、他の選手もそっぽを向いた。順位の先が見えなくなり、指揮官の口調がおとなしくなってきてから成績が上昇したのは皮肉なものだ。短期決戦などやりくりのうまさには定評があるが、モチベーターではなかった。

【栗山英樹監督(日本ハム)】 評価:D

 大黒柱である大谷翔平の離脱とともに、指揮官自身が落ち込んだ印象だった。エース候補・有原航平、4番・中田翔の不調、中島卓也、近藤健介の故障には同情するが、開幕から浮上のきっかけを取り戻せないまま、シーズンの早い段階で選手起用を育成に切り替えた采配は残念だ。

 中継ぎを支えた谷元圭介をシーズン中に放出し、大野奨太らの移籍を想定しての若手育成はチーム方針として理解できるが、前半首位の楽天が急降下、ロッテが低迷し、オリックスも調子の上下動が激しかっただけに、もうすこし可能性にかけてほしかった。

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