大塚家具の大塚久美子社長 (c)朝日新聞社
大塚家具の大塚久美子社長 (c)朝日新聞社
図版=東京商工リサーチ
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『2017年最大のBIGセール。全品価格保証』などと関東各支店で大バーゲンを展開中の大塚家具だが、苦境が続いている。

【図版】減りつづける大塚家具の現貯金・純資産はこちら

 2015年12月期に約110億円あった現預金が、わずか1年9カ月で約20億円に――。

 すでに同社の大塚久美子社長は、2017年12月期業績予想を売上高530億1900万円から428億1600万円に、当期純利益を3億6700万円の黒字から63億2000万円の赤字に、それぞれ下方修正した。

 業績不振から抜け出すきっかけを見出せないまま提携や統合の話が出ては消えていたが、11月6日に貸会議室運営の(株)ティーケーピー(河野貴輝社長)との業務・資本提携を正式発表した。

 世の中は大塚家具が得意の「まとめ買い」から「単品買い」に変わり、価格競争やインターネットとの競合も厳しさを増している。大塚家具はTKPとの提携でこの難局を乗り越えられるか。大塚家具の現状を東京商工リサーチが取材した。

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 大塚家具のイメージは「高級」だ。2014年に表面化した久美子社長と当時の会長で久美子社長の父親である勝久氏との経営権を巡る、今時珍しい派手な「父娘喧嘩」は新聞、テレビ、雑誌で連日大きく扱われ、ブランドイメージは著しく毀損した。

 経営権を掌握した久美子社長は父親が成長の礎とした会員制を廃止。さらに、「大感謝祭」などのセールで「禁断」の低価格路線にも踏み込んだ。だが、長引く消費低迷やインターネット通販など物流変化にも嵌り込み、思い描くような業績回復ができていない。

 2016年12月期(連結)の売上高は463億784万円と、前期比で116億9687万円も減少した。当期純利益は45億6710万円の赤字に転落し、現預金は前期の109億7182万円から38億5379万円まで減少した。

 その後もビジネスモデルの再構築やイメージ回復を目指すものの業績は改善しないまま。大型店舗の売上落ち込みが大きく、2017年12月期第3四半期は売上高312億3545万円と減収、当期利益も58億4713万円の赤字。現預金は20億3556万円に減った。大塚家具の月商は約35億円。小売業の上場企業で現預金が月商を下回るのは異常だ。

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