則本が投げる第3戦をいかなる状況で迎えられるか、それが今シリーズの鍵となる。西武との3試合で力を尽くしたリリーフ陣の疲労蓄積も心配される。その意味でも、第1戦で先発を務める塩見貴洋(3勝3敗、防御率 .95)や、藤平尚真(3勝4敗、防御率2.28)、辛島航(8勝8敗、防御率4.19)といった先発3番手以降の投手の出来が命運を握ることになりそうだ。

 ソフトバンク打線では内川聖一に注目したい。今季は自身の通算2000本安打達成がかかったが、6月頭に頸椎捻挫で約4週間離脱。6月末に復帰したが、調子が戻らないまま7月末に左手親指の骨折で長期離脱を強いられた。ようやく9月末に復帰したが、V奪回の歓喜に沸く中、内川自身は4番の役割を全うできずに悔しさを味わった。

 だが、ここ一番での勝負強さは誰もが知るところ。過去には、CSでMVPに2度(2011年、2015年)輝き、2014年には日本シリーズMVPにも輝いている。主砲の柳田悠岐が右脇腹痛でCS出場が絶望的な状況で、4番に復帰した男の“うっぷん晴らし”に期待したい。

 一方の楽天打線で鍵を握るのは、リードオフマンの茂木栄五郎になる。今季のソフトバンク戦は打率.308、4本塁打、13打点の好相性で、ヤフオクドームに限ると打率.345、3本塁打、9打点とその傾向はさらに強まる。対東浜には今季4打数2安打。西武とのCS第2戦では初回に初球先頭打者本塁打を放ち、ベンチのムードを一気に変えてみせた。

 第1戦、茂木の初回の第1打席の結果が、試合の流れを決めるかも知れない。パ・リーグのCSで初戦黒星の後に2連勝して突破したのは今年の楽天が史上初。下克上の機運は高まっている。