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「保毛尾田保毛男」論争 とんねるず流の時代遅れ

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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とんねるずの石橋貴明 (c)朝日新聞社

とんねるずの石橋貴明 (c)朝日新聞社

 9月28日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP』(フジテレビ系)の中で、とんねるずの石橋貴明が演じた「保毛尾田保毛男」というキャラクターが物議を醸した。同性愛者に対する偏見を助長するものであるとして、視聴者やLGBT(性的少数者)の関連団体から批判の声があがり、フジテレビの宮内正喜社長が定例会見で謝罪する事態となった。

「保毛尾田保毛男」は、30年続いたこの番組でかつて人気を博していたキャラクターである。30周年記念の特番ということで、昔からのファンを喜ばせるために過去の名物キャラクターを引っ張り出してきたところ、想定外の形で非難を浴びることになってしまった、というのが制作側の実情ではないかと思われる。

 当時の日本では、今ほどLGBTに対する世の中の理解が進んでいなかったため、このキャラクターが問題視されていなかったのだ。

 とんねるずは昔から毀誉褒貶の激しい芸人である。

 特定の層には熱狂的に支持されている一方で、忌み嫌う人も大勢いる。雑誌の「嫌いな芸人ランキング」では、「とんねるず」や「石橋貴明」が上位に入っていることが多い。

 その理由は、バラエティ番組に出ている彼らがやたらと偉そうで暴力的に見えるからだろう。若い頃のとんねるずは、一般人に罵声を浴びせたり、蹴りをいれたり、スタジオにあるテレビカメラを倒したりして好き放題に暴れ回っていた。今ではかなり落ち着いたとはいえ、基本的なスタンスはそれほど変わっていない。

 とんねるずがこのような芸風を確立したのには理由がある。彼らは高校生の頃から「面白い一般人」としてオーディション番組に出演していた。それがきっかけでスカウトされて芸能界入りを果たしたのだ。彼らがデビューした1980年には、多くの人にとって芸能界は憧れの場所だった。アイドル、歌手、俳優は一般人の手の届かないところにいる「スター」だと思われていた。

 また、お笑い界でも、芸人になるためには師匠に弟子入りをして下積みをしなければならなかった。お笑い養成所のようなものはまだ存在していなかったのだ。

 そんな時代にデビューしたとんねるずは、あえて自分たちが「素人」であることを堂々と打ち出していった。自分たちは「高卒」の低学歴であり、貧しい家庭に育ち、出身地は「成増」「祖師谷」という東京の郊外。特別な才能があるわけでもなければ、外見が整っているわけでもない。何も持たない自分たちがテレビの世界に殴り込みをかける、というのが彼らのコンセプトだった。


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