ドジャース29年ぶりのワールドシリーズ制覇の鍵を握るダルビッシュ(写真:getty Images)
ドジャース29年ぶりのワールドシリーズ制覇の鍵を握るダルビッシュ(写真:getty Images)

 現地時間10月3日のア・リーグ・ワイルドカード戦を皮切りに、2017年のMLBプレーオフが開幕する。今季はダルビッシュ有、前田健太が所属するドジャース田中将大が先発の一角を務めるヤンキース、故障までは上原浩治がブルペンに入っていたカブスのポストシーズン進出が決定。10月24日に始まるワールドシリーズに向けて、日本人選手の活躍から目が離せない。

 メジャー全体の最大の注目は、何と言ってもドジャースが29年ぶりの優勝を果たすかどうかだろう。メジャー屈指の名門は今季104勝を挙げ、5年連続での地区制覇を達成。勝率.642はMLB全体でトップであり、ナ・リーグの中では本命扱いを受けている。しかし……。

 近年のドジャースはポストシーズンでは勝てず、最後に世界一になった1988年以降、ワールドシリーズ制覇はおろかリーグ優勝すら果たせていない。過去4年のプレーオフシリーズでは通算2勝4敗。そんな厳しい時期から抜け出すべく、今季トレード期限に“最後の1ピース”としてレンジャーズから獲得されたのがダルビッシュだったのだ。

 ドジャースの先発陣では、大黒柱クレイトン・カーショウは今季も18勝4敗、防御率2.31と圧倒的な成績を残した。この大エースに続く投手がいないのが過去数年の弱点だったが、今季はダルビッシュ、リッチ・ヒル、アレックス・ウッドといった実力派がずらり。中でもエース級の力を持つダルビッシュが本来の力を発揮できれば、ドジャースは視界良好となる。

 今シーズンのダルビッシュは10勝12敗、防御率3.86で3年ぶりに二桁勝利を達成。ただ、8月中旬から1カ月も勝ち星から見放されるなど、ドジャース移籍後は苦しい時期も経験した。それでもシーズン終盤には立て直し、最後の3戦では合計19回1/3で自責点1という好成績で締めくくった。

「野球だけじゃなく、人生もそうですけど、誰だって死ぬまでうまくいくことなんてない。これも僕の人生の一部。自分が諦めたり、前に進むことをしないということはしないと決めている。自分はずっと戦っています」

 9月8日の試合後にはそう述べていたダルビッシュは、大事な時期にさらに前に進み続けることができるかどうか。ドジャースの浮沈が、リーグ屈指の才能を誇る日本人右腕に委ねられるところは大きいはずである。

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