医師・看護師や介護・リハビリ関係者が会食の場としてツバメヤを使うことも。酒宴は医療や介護の現場での悩みを語り合う場となる。「1人で来て、苦しい胸の内を語っていくお医者さんもいる」と福村さん。医療職から消化器を切除した患者の術後の食事について相談を受けることもあり、要望に応えて調理実習も行っている。

 杏林大保健学部看護学科講師の柴﨑美紀さんは、すでに10回近くツバメヤに通っているリピーターだ。専門は在宅看護であり、無理なく続けられる介護食のあり方を研究テーマの一つにしている。

「石川県の看護師さんからツバメヤの取り組みを聞き、金沢に来たら必ず寄っている。福村さんから介護食のレシピや新情報を入手するのが目的。患者さんが『おいしい』と言ってくれないと家族は負担が大きいし、続けられない。消化・吸収も良くないはず。こういう取り組みが、もっと全国に広まり、地域で根付いてほしい」(柴﨑さん)

 評判の介護食居酒屋、首都圏からも客足が絶えないというから、ニーズは高い。「おいしい介護食のおかげでお酒が進む」との声に、福村さんは「飲み過ぎ・食べ過ぎはいけません」と目を光らせていた。(ライター・若林朋子)