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「日本語、分かりますかー?」 いまだ繰り返される沖縄への侮辱

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辺野古新基地工事の埋め立て開始セレモニーに参加した日本政府や米軍の関係者。海上保安庁が警備する中、一斉に卓上のボタンを押すと、クレーンが砕石を投下した=2017年4月25日、沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ内

辺野古新基地工事の埋め立て開始セレモニーに参加した日本政府や米軍の関係者。海上保安庁が警備する中、一斉に卓上のボタンを押すと、クレーンが砕石を投下した=2017年4月25日、沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ内

機動隊員に強制排除される瀬長和男。リーダー役の一人で、いつも真っ先に標的にされる=2017年9月8日、沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

機動隊員に強制排除される瀬長和男。リーダー役の一人で、いつも真っ先に標的にされる=2017年9月8日、沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 2016年7月、人口140人ほどの「東村・高江」に本土から派遣された機動隊約500人が集まったのは、記憶に新しい。「米軍ヘリパッド建設」に反対する市民に向いた、むき出しの暴力。高江のヘリパッドが完成すると、舞台は再び辺野古新基地工事へ。今、沖縄の新基地建設の現場で何が起こっているのか、記者の目に何が映ったのか――。

『ルポ沖縄 国家の暴力』(朝日新聞出版)の著者である沖縄タイムス記者・阿部岳が最新の現場をリポートする。

【機動隊員に強制排除される瀬長和男】

*  *  *
 機動隊員が、座り込む市民の腕を抱え、足をつかんで、引きずり出していく。「暴力はやめて」「立ち上がって移動してください」「抗議の声を聞け」「座り込みは迷惑です」。同時に10人近くが声を上げている。怒号と悲鳴が交錯する。その時だ、妙に平板な声が聞こえたのは。
「日本語、分かりますかー?」

 辺りを見回した。声の主は安全地帯にいた。民間警備員の人垣とフェンスの向こう側。沖縄防衛局の男性職員が拡声器を握っていた。

 8月28日、米軍キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市)のゲート前。辺野古新基地建設を阻止するため座り込む市民の中に、一見して外国人風の人はいない。それなのになぜ、日本語の理解を問うのか。

 抗議行動の日替わりリーダーはこの日、瀬長和男(54)だった。発言内容を知ると、表情が変わった。「土人発言と一緒だ。沖縄の人間を日本人扱いしていない」

 瀬長の祖父は戦後の米軍占領と闘い、沖縄の本土復帰を主導した政治家、故亀次郎である(映画「米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー」が公開中)。その復帰から今年で45年。だが、「沖縄はいまだに繰り返し侮辱を投げつけられている」と、瀬長は言った。

●差別の連鎖

 瀬長が引き合いに出した「土人」発言は2016年10月、大阪府警の機動隊員が東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設現場で県民に投げつけた言葉を指す。「触るなクソ。触るなコラ。どこつかんどんのじゃこのボケ。土人が」。500人に上る応援部隊の一員だった。

 高江に、政府は空前の強硬姿勢で臨んだ。増派された機動隊は市民の抗議行動を力でねじ伏せた。法的根拠がないまま、陸上自衛隊のヘリが工事を手伝い、防衛局職員は市民のテントを強制撤去した。相手が沖縄でなければできない差別政策であり、「土人」発言はその象徴だった。

 政府は16年の暮れ、ヘリパッドの完成を宣言。その後間髪入れず、中断していた辺野古新基地の工事を再開した。高江は山奥にあり、マスコミの目も届かない「陸の孤島」だった。これに対して全国的に知名度がある辺野古に舞台が戻っても、政府がいったん踏み込んだアクセルを緩める気配はない。


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