オーストラリア戦でスタメンの可能性が高まった柴崎岳(写真:Getty Images)
オーストラリア戦でスタメンの可能性が高まった柴崎岳(写真:Getty Images)

 勝てば本大会出場が決まる8月31日のオーストラリア戦と、直後の9月5日に待つアウェーのサウジアラビア戦に向け、ハリルホジッチ監督はFW枠に9人の選手を呼んだ。本田圭佑や大迫勇也など、主力のコンディション面に不安があったことも確かだが、点を取りに行って勝つためのオプションを増やす意図があることも間違いない。

 一方で、彼らをパスで生かす中盤の選手も守備的MFに4人、攻撃的MFに3人を招集しており、状態や組み合わせをチェックして試合ごとの最適解を探ろうという意図が見られる。その中でハリルホジッチ監督は4-3-3を採用し、練習から中盤インサイドハーフのスタメンに柴崎岳を指名する可能性が高くなった。

 6月7日のシリア戦で負った肩の負傷から回復はしたものの、所属のドルトムントで開幕から途中出場が続く香川真司は、オーストラリア戦ではベンチスタートになるかもしれない。ある程度時間が進んだところで、得点がほしい状況になれば2人が並び立つこともあるだろう。

 約2年ぶりの代表復帰となった柴崎は周知の通り、鹿島アントラーズからスペイン2部のテネリフェに移籍。当初は体調不良などに悩まされた時期もあったが、回復後は徐々に出番を増やしてクラブの昇格プレーオフ進出に貢献し、結果的にはプレーオフでテネリフェの1部昇格を阻んだヘタフェに請われる形で1部のピッチを踏むこととなった。

「(スペインで)いろんなポジションをやったことによって、自分のプレーも幅が広がったと思いますし、今ではボランチだけではなく前目のポジションやサイドなど中盤のポジションでしたら、役割をしっかりと理解できると思っています。与えられた役割を全うできるだけのキャパシティーも増えてきている」

 そう語る柴崎は9人のFWとの関係について「ほとんどの選手と一緒にプレーしたことがありますし、全員の特徴も分かっているので、誰とやってもコミュニケーションを取ってやれると思います」と、いきなりの組み合わせにも戸惑うことなく良い連携を構築することに自信を見せた。

 インサイドハーフのもう1人は守備的MFの枠で呼ばれた山口蛍、井手口陽介、高萩洋次郎の3人から選ばれるだろう。高萩や攻撃的MFの枠で選ばれた小林祐希は柴崎と同じくゲームメーカー寄りの選手だが、山口や井手口も縦パスを多めに出してFWを生かすというビジョンは共有しているはずだ。

 その中で「ゲームコントロールというか、試合の流れというのは常に見ていかないといけないものだと思います」と語る柴崎が主体となる。基本的には縦に速い攻撃を志向してきたチームにあって、柴崎が状況を見極めながら、インサイドハーフの相棒やサイドバックの選手と攻撃のビジョンを共有し、周りの選手を牽引できるかどうかはオーストラリアの守備を崩すためにも重要なカギとなる。

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