スポーツの範疇を超えた話題性を誇るメイウェザー対マクレガー戦は、一般的にPPV売り上げ300万件突破は間違いないと目される。そして、7月中に4カ国で行われた会見ツアーの盛り上がりを見て、“史上最高の数字を記録するかもしれない”と見る在米メディアも増えてきている。

 焦点はやはり“世紀の一戦”と呼ばれた2年前のメイウェザー対パッキャオ戦のレコードを塗り替えるかどうか。500ドル~1万ドルといった法外な値段に設定されたチケットは意外にも売れ行き不振が伝えられ、PPVも伸び悩む可能性はゼロではあるまい。ただ、強気のダナ・ホワイトはPPV購買数約490万件と予想している。その目算通りなら、パッキャオ戦では約2億5000万ドルのファイトマネーを手にしたメイウェザーは、今戦では実に3億ドル以上という浮世離れした報酬を受け取ることになるかもしれない。

 とてつもない数字を残したからといって、必ずしも今回のイベントが大成功とみなされるわけではない。試合自体は凡戦の末にメイウェザーの楽勝で終わると見る関係者が最も多く、興味本位の視聴者は一様にがっかりする結末を迎える可能性も高いだろう。ただ、ひとつだけ言えることは、成功だろうと、失敗だろうと、“お祭り”の趣も漂うメイウェザー対マクレガー戦は、後世まで何らかの形で語り継がれるイベントになるということだ。

 ファン、アンチファンにかかわらず、これだけ話題を呼んだファイトを完全に黙殺することは難しい。それゆえに、常軌を逸した巨額が動く。結局は誰もが“見ておきたい”と感じるカードであるがゆえに、試合内容はともかく、興行的な大成功は約束されているのである。(文・杉浦大介)