「この人と話すと気持ちいい」と思われる想像力の鍛え方

 自分は嫌いだけれど、もしかしたら相手は好きかもしれない。そんな想像力を働かせて会話をしていますか? 人気ラジオDJの秀島史香さんは、さまざまな立場、状況にあるリスナーに届ける言葉を選ぶとき、この想像力が欠かせないといいます。秀島さんが自著『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』で明かしている、知らないうちに相手を不快にさせたり傷つけたりしない、好感度が上がる会話術をご紹介します。

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 ラジオの音楽番組では、本番前に、オンエアする曲のリストがディレクターから渡されます。

 1990年代半ば、「ビジュアル系」と呼ばれるロックバンドがブームでした。そして正直に明かすと、そのころ私はビジュアル系と呼ばれる音楽をあまり好きになれないでいました。

 その日の曲目リストには、とあるビジュアル系バンドの曲が入っていました。

「ああ、新曲なんですね、へえ」

 自分では努めていつもどおりに振る舞っていたつもりでしたが、気のない感じが出てしまっていたのでしょう。そのディレクターにこんなことを言われました。

「自分の好き嫌いを持つことはもちろん大事だけど、世の中には自分が嫌いなものを好きな人が大勢いるということを、いつも覚えておいたほうがいいよ」

 それが、DJとしての最低限の心がけだと教わりました。

「今日は雨ですね」

 そのことひとつを伝えるのにも、無限の方法があります。

「雨が降って憂鬱(ゆううつ)ですね」

 それが本音だったとしても、そのまま言うことがベストではありません。「いいえ、うちはようやく雨が降ってくれてバンザイです」という農家の方もいらっしゃいます。

 では、どう言い換えましょうか。たとえば、

「買い物帰り、紙袋に入れてもらったんだけど、ゲリラ豪雨に降られて紙袋がびしょぬれ。あの角を曲がれば家に着くという瞬間に豪快に底が抜けたんですよ。その気持ちたるや!」

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