これももちろん有効だと思いますが、私は、できるだけ「but」は使わないようにしたいと思っています。なぜなら、結局は「でも」と相手の言い分を否定することになるから。「この人ってやたら『でも』でかぶせてくるなあ……」と気づかずにネガティブな印象を与えているかもしれません。

 相手と自分の意見が異なるとき、いかに「でも」を使わず自分の考えを伝えるか。

 この悩みについて、ひとつのヒントをくださった方がいます。それは、NHKの真下貴(ましも・たかし)アナウンサーです。ある時真下さんと一緒に金曜お昼どきのゲストトーク番組『BSコンシェルジュ』を進行していたときのことです。

 真下さんは、相手の意見に対して「そうですね、でも」と返すのではなく、「そうですね、一方で」と、「一方で」という言葉を使っていたのです。

「そうですね。でも、私はこうだと思います」ではなく、
「そうですね。一方で、こういう意見もありますね」

 こう言い換えることで、かなりソフトな雰囲気になりませんか? やや書き言葉のような硬い響きがありますが、声に出してみると意外に違和感なく使えます。

ある言葉を別の言葉に置き換えることを英語で「リフレイズ(rephrase)」と言います。もっと良い言い方はないかな、より良く伝わる表現はないかなと街の中、メディアなどを、素敵なリフレイズを採集する気持ちで見回してみてください。