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古賀茂明「電通事件でわかる労基法のザルぶり 連合は“経団連労務部”」

連載「政官財の罪と罰」

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著者:古賀茂明(こが・しげあき)1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著「日本中枢の崩壊」など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催。

著者:古賀茂明(こが・しげあき)
1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著「日本中枢の崩壊」など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催。

 4月20日、厚生労働省が電通の山本敏博社長から任意で事情聴取したというニュースが報じられた。
 
 これだけ見ると、「ついに電通社長まで捜査の手が伸びた、当局は本気だな」と思ってしまった方も多いだろう。しかし、それは、まったくの間違いだ。2016年10月、電通の女性社員、高橋まつりさんの過労自殺が日本中の話題となった。文字通りの「殺人的」残業が原因で、才能のある一人の若者が犠牲になったのだ。
 
 その後、電通本社やその支社などに、立て続けに厚労省が立ち入り調査を行ったが、驚いたことに、電通では、これまで何回も労働基準法違反が繰り返されており、当局もそれを再三問題としていたということが明るみに出た。実は、電通は法律違反の常習犯だったのだ。

 こうした勤務実態を会社の上層部が知らなかったかというと、とてもそんなことはありえない。世の中の人々は、会社の社長以下幹部に責任があるのは当然だと受け止めた。その見方は決して間違ってはいない。

 是正勧告を立て続けに受けたのだから、社長もこの問題を深刻に受け止めたはず。そうであれば、その後の社員の勤務実態について強い関心を持っていたに違いない。深夜まで働く社員がいたことに気づきませんでした、などという言い訳が通用するわけがない。

●労基法は天下のザル法

 では、そんな悪質な会社の社長には、どんな罰が下されるのであろう。

 まず労働基準法では、会社が労働組合との協定(三六協定と呼ばれる)に書いてある上限を超えてはたらかせることはできない。もし、これを超える労働をさせたら、労基法32条(労働時間)または、35条(休日)違反となって、使用者(上司)が罰せられることになる。ただし、その場合でも、1度目からいきなり刑事罰が科されることはほとんどないというのが、日本の労基法がザル法といわれる所以だ。まずは労働基準監督署から是正勧告が出され、それにしたがって改善措置を取ればよいという、ほとんど意味のない処分で終わる。


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