そして、このプレッシングサッカーなら岡崎自身の良さも生きてくるという。キーワードは「距離感」だ。

「(まず自分がプレスをかけ)味方も後ろからついて来てくれることによって、自分も生きてくる。やっぱりチームが引いて守るだけでは自分は生きない。それは、みんなとの距離が遠すぎるからです。近くにみんながいることで、(ボールを)取ったあとも簡単にはたいて、また前線へ飛び出すことができる。プレッシングサッカーで、自分は最大限に生かされると思います」

 解任される直前のラニエリ監督は、とにかく失点することを嫌った。そのため、陣形全体を低い場所に置き、攻撃はロングカウンターに頼った。すると、前線では「速さ」や「高さ」といった分かりやすい「個の力」を持った選手が優遇されるようになった。このプレースタイルでは、周囲との連携で崩す岡崎の持ち味は生きない。

 しかし、プレッシングサッカーに立ち戻ったおかげで、周りとの距離感は著しく改善した。味方とのワンツーで突破を図る。あるいは、中盤まで降下してパスワークをスムーズにする。こうした連係プレーが可能になったのも、チーム全体が前方へと押し上げるようになったからだ。結果、岡崎は「やりやすくなった」と言い、パフォーマンスも動きの質も向上した。

 だが、ここに来て、新たな問題が生じている。「疲れっぷりが心配になるぐらい、疲れている。やっぱり前に出られなくなってますよね」と岡崎が語るように、ダニー・ドリンクウォーターやリヤド・マフレズといった主力選手に疲労の色が隠せないのだ。こうなると、「走るサッカー」がベースとなるレスターのチームパフォーマンスは著しく低下する。実際、監督交代を機にレスターは公式戦6連勝を飾ったが、この勢いにも陰りが見え始めている。

 それゆえ、現地時間15日に行われたクリスタルパレス(イングランド)戦で「高さ」のあるFWレオナルド・ウジョアを2トップの一角に先発起用した。ベンチスタートにまわった岡崎は試合後、「(アトレティコ・マドリード戦に向けて温存?) いや、普通に外れたと思います。監督から何も言われていないので」と明かした。その上で、「ウジョアがあそこに入ると、サッカーが変わりますよね。基本的にロングボールを入れて、そこでキープできればチャンスになるという感じ。監督が戦い方を変えてきたと思うんです」と語った。

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