今年、大きく変わったのはF1マシンの外観だけではない。ホンダのパワーユニット(PU)も一新されている。今年F1に復帰して3年目を迎えるホンダは、王者メルセデスAMGにチャレンジするため、これまでのコンセプトを捨て、まったく新しいPUを製作してきた。PUの各パーツのレイアウトを変えて重心を低くしただけでなく、パワーアップを図って燃焼方法も変えてきた。

 ところが、直前のテストではトラブルが発生。されに想定していたよりもパワーが上がっていないという問題にも直面した。

 ホンダのF1プロジェクトの長谷川祐介総責任者は「バルセロナで発生した問題によって走行時間は制限され、さらに性能での課題が開幕戦へ向けてのプレッシャーとなったことは事実です」と、開幕戦が厳しい戦いになることを覚悟しつつも、「テストで得た大量のデータによって、さまざまな改善を行うことができましたし、シーズンを通して競争力を増していけるように努力を続けていきます」と、今シーズンに賭ける意気込みを熱く語っている。

 今年のレギュレーションは車体製造に関する規則が変わっただけでなく、PUの規則も見直された。PUの開発を制限させるために導入されていたトークン制度が撤廃され、年間4基というPUの中で、マニュファクチャラーは自由に開発が行える。ホンダの技術力に日本人だけでなく、世界中が注目している。(文・尾張正博)