「試合枯れのリゴンドーは、バンタム級を支配してきた山中慎介と対戦してはどうだろう。両者の体重差はわずか4パウンドに過ぎないのだから」

「BoxingScene.com」のパウンド・フォー・パウンド・ランキングで、10位にランクされるWBA世界スーパーバンタム級王者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)の項にそんな記述があった。アマ通算243勝4敗、プロでも17戦全勝11(KO)。ボクシング史に残る“達人”と呼んでも差し支えないリゴンドーだが、守備的すぎるスタイルゆえにアメリカでは冷遇されている。

 近日中に予定される暫定王者モイセス・フローレス(メキシコ)との試合後も、リゴンドーに大金の絡む試合が舞い込む可能性は低い。だとすれば2014年12月の天笠尚(山上)戦に続き、日本に招へいすることも不可能ではあるまい。山中とリゴンドーという実力者同士の一戦が実現すれば、世界的な注目を集めるファイトになるはずである。

 今の山中とその陣営の目標は防衛記録かもしれないが、ローカルのレコードより、ワールドワイドな勲章を目指して欲しいもの。記録挑戦の機会を保ちたいのであれば、バンタム級のタイトルを保持したまま、日程的にタイミングの合う今年後半にスーパーバンタム級王座に挑むのも良いだろう。

 もちろんすべてはカールソン戦を終えてからの夢物語。今後をさらに興味深いものにすべく、まずは昨年9月16日のアンセルモ・モレノ(パナマ)戦同様、エキサイティングな内容での勝利を期待したいところ。ここで山中が国内外で話題になるような勝ち方をすれば、さらに大きな舞台を待望する声が再び膨らんでくるはずである。(文・杉浦大介)