その後はデモプレイが延々と表示されるため、まずは何かボタンを押す。すると水色の背景に黄色と緑の迷彩色で「ゲバラ」と大きく書かれたタイトル画面が表示された。“PUSH START”と書かれているのでさらにスタートボタンを押すと、1人プレイか2人プレイかを選ぶ画面が出た。通常であれば1人プレイを選ぶところであるが、それではゲバラのみ操作することになるため、今回は2人プレイを選択する。

 2人プレイを選択すると、先ほどデモで流れた上陸シーンが再度描かれる。ボートから水色と黄色のゲリラ服を着た2人のひげ面の男性が登場する。服の色違いの双子かと思う見た目だが、水色がゲバラ、黄色がカストロという設定のようだ。だが、ここに来て1つ大きな問題が。記者には一緒にプレイする友達もいないので、2人同時プレイをこのまま続けることはできないのだ。したがってどちらか片方をゲームオーバーにさせる必要がある。今回はカストロプレイが目的なので、1P側のゲバラを最初に泣く泣くゲームオーバーにさせることでゲームを続行する。

 ゲバラの敵陣への決死の突撃を見送ったあと、冷静に黄色いカストロを操作する。操作はAボタンで手榴弾を投げ、Bボタンで銃弾を撃つというもの。十字キーは8方向の操作に対応しており、斜めの移動や攻撃もできる。移動も早く、心地よい操作性だ。

 一方、シューティングゲームとしてはシビアで、敵の弾に1発でも当たってしまうと機数が1つ減ってしまう。こちらの所持機数は5機しかないため、慣れないとすぐに全滅してしまう。だが、ゲームオーバーとなってしまっても心配いらない。このゲームはコンティニューを無限にできるため、プレイヤーの根気が続く限りどこまでも革命を推し進めることができるのだ。

 ちなみにこの「グランマ号」の上陸地点、現在では国立公園となっており、風光明媚であることからなんと世界遺産にもなっている。後世の世界遺産で部屋の中でこうして革命戦を繰り広げていると考えると、なんとも自分に申し訳ない気持ちにもなってくる。

 無限コンティニューのおかげで、ゲームクリアはさほど難しくない。ゲームは1ステージ目の上陸地点から始まり、市街地、炭鉱、首都、そして敵の最終基地へと舞台を変え、全10ステージにわたって構成されている。

 道中、「L」や「F」など書かれたパワーアップアイテムを取ると、武器がロケットランチャーや火炎放射器などに変化する。また、敵の戦車を奪うことも可能で、この状態だと敵の通常弾を受け付けなくなるから心強い。随所に捕虜が人質として置かれており、接触すると+1000点のボーナス点、間違って攻撃してしまうと-500点のペナルティとなる。ただしこのゲーム、捕虜を助けて高得点を得ることのメリットがほとんどないため、慣れてくると捕虜ごと抹殺プレイになってしまう。革命のためなら多少の犠牲もやむを得ないということか。

 そんなこんなで最終ステージに来ると、舞台はバティスタの宮殿へと移る。もちろんラスボスはバティスタ。七三分けのような整った髪型に、赤い服を着ている。宮殿の屋根には4つの砲台があり、バティスタも屋根から攻撃してくる。砲台からはプレイヤーをホーミングしてくる弾を撃ってくるが、これらを回避しつつ約3分、ようやくバティスタを倒すことができた。

 バティスタが倒れる演出が起こると、画面はすかさずエンディングと移る。そこで表示されるのは、「バティスタが倒れた。これでこの国にも平和がおとずれるのだ。長かった君の戦いも、ここで終わった。」という文章と、肩を組むカストロとゲバラのイラスト。そしてしばしスタッフロールが流れたのち、「ゲバラはこの働きにより少佐となったが、その後、ボリビアで死亡している。カストロはキューバの首相として現在にいたっている。」とのテキストが表示され、「THE END」とゲームは幕を閉じる。なんとも爽快感あふれるゲームをしているはずなのに、歴史の勉強にもなるという一石二鳥のお得感が味わえた。カストロが亡くなったことで是非続編が出ないものかと楽しみにさせられる完成度の高さだった。もっとも肖像権が叫ばれる昨今、実現は非常に難しそうではあるが……。

 ちなみにこの「ゲバラ」、ゲームの完成度の高さにもかかわらず、いろいろ大人の事情があるためか、「Wii」や「ニンテンドー3DS」などで昔のゲームが遊べる「バーチャルコンソール」には入っていない。遊びたければ中古ソフトを探してきてファミコンで遊ぶしかないのだ。11月に発売された「ファミコンミニ」に追加で収録されれば面白いが、是非ともこの場を借りて関係者の方々にお願いしたいところだ。(ライター・河嶌太郎)