左の水色がゲバラ、右の黄色がカストロとなっている
左の水色がゲバラ、右の黄色がカストロとなっている
開始早々重厚な内容となっている
開始早々重厚な内容となっている
キューバ革命の英雄への敬意も忘れない
キューバ革命の英雄への敬意も忘れない

 キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長が亡くなってから1週間が経とうとしている。キューバ国内では9日間の服喪期間に入り、追悼集会が行われる一方、約200万人のキューバからの亡命者を抱えるアメリカではカストロの死を喜ぶ「パーティ」が開かれた。一方日本ではというと、キューバ革命を共に率いたチェ・ゲバラと並んで、どちらかと好意的な印象のほうが多く見受けられる。

 そんな賛否両論あるカストロだが、実はファミコンゲームにも登場している。その名も「ゲバラ」。1988年に発売されたゲームで、開発は後に大ヒットした格闘ゲーム「餓狼伝説」「ザ・キング・オブ・ファイターズ」などを世に出したSNK(現・SNKプレイモア)。1956年のキューバ革命を舞台にしたシューティングゲームで、プレイヤーは1Pが「ゲバラ」、そして2Pが「カストロ」として操作できる。アーケードゲームとして出ていたものをファミコンに移植したもののようだ。記者はゲームの存在こそ知っていたものの、これまでちゃんと遊んだことがなかった。そこで今回、カストロ前議長閣下への弔意を込め、“追悼プレイ”を執り行うことにした。

 カセットをゲーム機本体に刺し電源を入れると、白のバックに青字で「SNK」という文字、続いて「SNK WAR GAME PROJECT GUERRILLA WAR」という文字が現れた。ちなみに、この「GUERRILLA WAR」というのは、「ゲバラ」の海外作品名になっている。アメリカで「ゲバラ」はさすがにいろいろと問題があったようだ。続いて画面は切り替わり、黒の背景にひげを生やした角刈りの男性の白黒写真に、「キューバ革命の英雄 チェ・ゲバラに捧ぐ」との白い文字。いきなり製作者の強烈なメッセージを浴びせられた格好だ。

そして間髪をいれず、

“1956年、南米キューバ大統領バティスタは重税と秘密警察を使って、この国を支配していた。ゲバラはカストロに協力し、独裁者バティスタを倒すため、密かにキューバに上陸した。しかしすでに軍隊が彼らを待ちうけていたのだった。”

 との文が表示される。当時のシューティングゲームにしてはあるまじきストーリー性の高さだ。だがこれはフィクションではなく、1956年12月2日に実際にあった話だ。そしてデモ画面が始まり、爆撃機の攻撃を受ける白いヨットが上陸する場面が表示される。史実ではこの船は「グランマ号」と呼ばれ、カストロ率いる革命軍がメキシコからキューバに再上陸する際に使った船だ。8人乗りの船に82人もの兵士が乗り込んでいたが、上陸後待ち構えていたバティスタ政府軍によってカストロやゲバラ含む12人にまで減ってしまったといわれている。ゲームでは、上陸できたのはカストロとゲバラの2人だけという設定になっており、そこから映画「ランボー」さながらの大逆転劇を繰り広げる内容となっている。

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