しかし、いざ洗濯という時に混乱してしまう可能性もある。消費者庁の担当者に、覚え方のこつを聞いてみた。返ってきたのは、「5つの基本表示を覚えるのが一番早い」という答えだ。「まず基本表示を見て、それから付加記号に着目する。(家庭洗濯を表す)おけの記号に『バツ(×)』がついていればクリーニングに出す。漂白剤やタンブル乾燥など新しく追加された記号は押さえる」(消費者庁の担当者) 

 とはいうものの、四角形を使った「乾燥」の表示などは、普段干し方にこだわりがない筆者には分かりにくい。四角形の中に縦線が1本は「つり干し」、2本は「濡れつり干し」、横線が1本なら「平干し」、2本なら「濡れ平干し」を表す。また、四角形の左上に斜線があれば「陰干し」、中に円があれば「タンブル乾燥」と、目がちかちかしてくる。

 さらに、「P」を丸で囲んだ「ドライクリーニング」を表す記号は理解しがたい。「パークロロエチレン及び石油系溶剤によるドライクリーニングができる」という意味だが、それなら丸の中のアルファベットを「D」や「DRY」とした方が分かりやすいのでは?と思ってしまう。

 そもそも、なぜ洗濯表示が変わったのか。日本で初めて洗濯表示ができたのは1968年のこと。76年に、法律でこれまでの記号を衣類に表示する義務が課され、それから40年もの間、日本独自の記号が使われてきた。しかし、海外製の衣類が流通するようになり、洗濯表示もグローバル化しようと、2014年、国際規格に合わせた表示を運用することが決まった。

 これらの経緯から、洗濯表示が変わることによって、「海外の製品でも戸惑うことなく洗濯できるし、きちんと守れば、縮みなどの洗濯トラブルを防げるのではないか」(消費者庁の担当者)というメリットがあるという。また、12月1日以降に出荷される商品には、新表示がつけられる。

 まあ、まずは基本表示を覚えるところからだろうか。洗濯表示が変わったからといって、基本的な洗濯方法が変わるということはなさそうだが、早めに慣れた方が悩まずに済みそうだ。詳しい表示については、消費者庁のウェブサイトなどでまとめられているので、参考にしてほしい。(ライター・南文枝)