ちなみにサーブが弱点と言われる錦織だが、サーブに関するランキングで、上位に名を連ねる分野がある。それが、セカンドサーブのポイント獲得率。ファーストサーブのポイント獲得率では76選手中38位の錦織が、セカンドサーブになると、とたんに4位にまでジャンプアップするのだ。ちなみに1位はジョコビッチで、2位がスタン・ワウリンカ、3位がロジャー・フェデラー。セカンドサーブでのポイント獲得率とは、テニスの総合力を反映している数字と言えそうだ。

 なお錦織本人は、今後上位勢に勝っていくために必要な要素を、次のように自己分析している。

「歳を重ねるごとに、テニスが安定してきている。そのなかでこれからは、試合の中でアップダウンが出ないように、集中しなくてはいけない場面を見極めたり、ブレークポイントをしっかりとれるようになったり……そこが一番、今要るところだと思います。もちろんショットは、サーブだったりまだまだ改善しなくてはいけないところはありますが、一番はメンタル的なところが多いかなと思います」

 数々の世界1位を育てた名コーチや、往年の名プレーヤーが指摘する課題を自認し、その上で錦織は、それら心技体を統合する精神面こそを強化したいのだと言った。

 3年続けてトップ10でシーズンを終え、過去最高となるマッチ58勝を手にした今、上位を狙う足固めは整った。来季から、いよいよ頂点を目指すアタックが始まる。(文・内田暁)