「なぜ、この選手たちを選んでしまったのか、私にも分からない。選ぶ選手が他にいなかったのだろう。まあ、選んだ監督の責任である」

 9月1日に行われたW杯最終予選の初戦、ホームでUAE相手に1‐2とまさかの敗戦を喫した後、ハリルホジッチ監督は自棄を起こしたようにこんな言葉を口にした。

 ボスニア系フランス人指揮官は「日本サッカーを改革する」という意気込みかもしれないが、それは直接的な代表監督の仕事ではない。継続的に結果を残す、しかも旬な選手を選ぶ。その選手たちの士気を高め、束ね、統率し、ピッチに向かわせる。そして勝たせるのが仕事だろう。その戦いを見せることによって、あくまで間接的に日本サッカーを革新させるのが好ましい。

 就任以来、単純なフィジカルに絞った選考で選んでは外す、の繰り返し。「結局は出場機会を失った海外組に頼るしかない」という構図が透けてしまう。前任のハビエル・アギーレは評判こそ良くなかったものの、彼でさえ半年足らずで武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)を見いだしていた。伝説の名将ルイス・セサル・メノッティは「選手を進化させるのが監督の本分」と語るが、ハリルホジッチ監督に関しては1年半が過ぎても、相当する選手が一人もいない。

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