1勝2敗と後のない状況で迎えた第4ゲーム・シングルス。ダブルスに引き続き登場した吉村の相手は馬龍。しかし第1ゲームを先取されると、流れは相手側に。第2ゲーム、第3ゲームと連取され、ストレート負けを喫する。これにより1勝3敗となり、日本の銀メダルが決定した。

 負けはしたものの、試合では中国に肉薄するシーンもみられた。試合を水谷は次のように振り返る。

「彼(許昕)には過去0勝15敗くらいで、数多くの大きな舞台で負け続けていたので、五輪という最高の舞台でリベンジできて、今までの借りが返せてすっきりしています。今回、シングルス団体戦の両方でメダルをとることができて、本当に素晴らしい結果だと思います」

 水谷が挙げた一勝は、日本にとって大きな意味を持つものと言えるだろう。しかしそんな一方で、あと一歩だったからこその悔しさもあるようだ。選手は口々にこうコメントした。

「今日こうやって卓球界みんなの夢を叶えることができてうれしいです。シングルスと団体で目標であったメダルを獲得できて本当にうれしいですし、今回のメダルが東京五輪につながると信じています。今回優勝することはできなかったんですが、この悔しさをばねに東京五輪では優勝したいです」(水谷)

「史上初の銀メダルはすごくうれしいんですが、今の試合も何度かチャンスがあったのを生かすことができなかったので、そこは悔しかったです」(丹羽)

「結果には満足していませんが、自分が目標としていた舞台で戦えたことには満足しています」(吉村)

 しかし、これは日本が絶対王者・中国と戦えると分かったからこその悔しさと言えるかもしれない。日本は中国との差を、少しずつではあるが、確実に詰めつつあると示した一戦だった。(文・横田 泉)