「今日は本当に気持ちよくやろうと思って。10代最後の試合でしたし、五輪は4年後までないので、とにかく気持ちよく、自分が満足できればいいと思って内容重視でやりました」

 今回、白井の得点は15.449点だったが、実は白井の直後に演技をしたルーマニアのマリアン・ドラグレスクもまったく同じ得点を出している。しかしながら跳馬は同点になった場合、より高い得点の1本を跳んだ方が上位とされる。白井は1本目の新技・伸身ユルチェンコ3回半ひねりで15.8点を超える高得点を出していたため、3位に食い込むことができた。新技に挑戦、そして成功させたからこそ獲得できた銅メダルだった。

 白井はこの技について「リオ五輪で現地に入ってから、(跳馬の)決勝だけは新技をやるつもりでいました。転倒があっても悔いはないと思って」と話し、またメダルの獲得については「強い決断力が生きたなと思います」と振り返る。

 新技の完成度については「まだ映像が見られていないのでわからないですが自分でも感動すると思います」と、自らもその手応えを感じている様子。さらに「(跳馬は)そこまで自分の中でも期待はしなかったんですが、こういう形で練習の頑張りは帰ってくるんだなと思いました」と笑顔で話した。

 すでに、ゆかと跳馬であわせて4つ、自身の名を冠する技をもっている白井。それらは大舞台でも物怖じすることなく、新しいことに挑戦してきた結果だった。今回の銅メダルも、そんな白井の攻める姿勢がもたらしたものと言えそうだ。(文・横田 泉)