ここ数年、日本人のトップレベルは“海外”に流出して空洞化が叫ばれて久しい。大物外国人選手は中国の“爆買い”や中東の“オイルマネー”に押されて、ブラジル人選手や韓国人選手はJリーグ経由で中国や中東に流れる傾向にあった。そこで浮上したのが、大物外国人選手や名監督と契約する際は、Jリーグ事務局や関連会社が契約金の一部を負担するという“特別ルール”である。

 そのモデルとなるのが米国のMLS(メジャーリーグサッカー)やオーストラリアのAリーグだ。両国とも戦力の均衡を図るためにサラリーキャップ制度を導入していて、MLSなら1クラブ当たりの総額年俸は原則約3億1千万円(契約は30人まで)となっている。しかし各クラブはサラリーキャップの範囲外で最大3人までの選手を獲得できる特別ルール(デジグネイテッド・プレーヤールール=特別指定選手制度)を設けている。

 このルールが採用されたのは2007年だったが、同年にデビッド・ベッカム(元イングランド代表)がMLSに移籍。その後もティエリ・アンリ(元フランス代表)、カカ(元ブラジル代表)といったスター選手がMLSでプレーした。Aリーグでは「マーキープレーヤー」という名称の制度で、各クラブとも1名をサラリーキャップの制限を受けずに獲得でき、過去には小野伸二やデル・ピエロ(元イタリア代表)などが参戦した。

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