海外との感覚は「ペットショップ」でも大きな違いがある。日本ではガラスケースに入れられて販売されているのが定番だが、海外では「生体展示販売」を禁じている地域が少なくない。また、イギリスやスイスなどのように、法では禁じられていないもののペットショップで購入すること自体が「非道徳的」として、ブリーダーや保護施設から引き取るのが一般的になっている国もある。

 日本でも動物愛護の意識が高まり、動物愛護法の改正によってペットショップで売れ残った犬やの殺処分を自治体が拒否することができるようになった。だが、そういった売れ残りのペットを「引き取り屋」と呼ばれる業者が有料で引き取り、雑な飼育や利益目的の繁殖によって虐待されている事実もある。今年5月にNHK『クローズアップ現代+』で特集され、元引き取り屋の男性が「犬がカネに見えてくる」と語り、虐待容疑で刑事告発された業者が「殺される命を助けてやってるんだ」とうそぶく姿は視聴者に衝撃を与えた。

 昨今はさまざまなペット関連ビジネスが生まれているが、果たして人間の市場経済に「命」を組み込んでいいものなのか、難しい問題といえそうだ。(ライター・別所たけし)