個性的なタレントや独創的なプレーもまた、この大会の魅力だ。

 世界最高峰のサッカーが繰り広げられるのは、言うまでもなくヨーロッパ。だがゲームに彩りを添え、かつ勝負を決めるタレントの多くは南米出身だ。

 昨年、クラブ世界一に輝いたバルセロナの3トップ、メッシ、スアレス、ネイマール(五輪出場のためコパは欠場)は、南米ビッグ3のエースに君臨する。チャンピオンズリーグで11度目の優勝を飾ったレアル・マドリーも3人のブラジル代表、さらにはハメス・ロドリゲスというコロンビア代表の背番号10を擁する。

 こうした名手たちが繰り広げる南米サッカー、その面白さは驚異のテクニックと頭脳を駆使した、丁々発止の騙し合いにある。

 これは南米の貧しい庶民の生き様といっていい。「持たない者」が技術と機転だけで、「持てる者」の足下をすくう。そこに人々は希望を見出し、熱狂するのだ。

 この南米的精神を地で行くのが、アルゼンチンの至宝メッシだ。

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