なお、伊勢志摩地域では、25日~28日にかけて一般道でも規制が実施される。26日午前には、首脳一行が伊勢神宮内宮へ訪問予定。それに伴う交通規制も用意されている。加えて、25日から27日にかけて、中部国際空港に発着する名鉄バス、知多バス、三重交通、遠鉄バスなど空港バスも運休となる。

 一方、今回のサミット開催に関しては、メーン会場やその近郊以外の規制も目立つ。

 近鉄グループは、日本一高いビル「あべのハルカス」内になる「あべのハルカス近鉄本店」を、サミット開催日の26~27日に合わせて臨時休業とすることに決めた。平均で約9万人訪れるビル利用客が、テロの標的になるのを防ぐためというのがその理由だ。ちなみに臨時休業は、2013年6月の開業以来初となる。近鉄百貨店、水族館「海遊館」など、他のグループ系列店は、警備を強化して通常営業にのぞむとしている。

 サミット期間中、大阪市にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパンも、入場者の手荷物検査を行う方針だ。これもオープン以来、初めての試みとなる。一方、JR東日本も駅の警備を強化。25日から27日の間、東京駅ではコインロッカーおよび、手荷物預かり所などが休止となる。

 東京・浅草では、初夏の風物詩「三社祭」の日程が、サミットの影響で前倒しされた。三社祭には毎年多くの警官が警備にあたるが、今年はサミットに警備人員として派遣される予定となっており、スケジュールの兼ね合いから予定を繰り上げたという。警察庁によると、賢島や周辺地域には45都道府県から約2万3000人の警察官が動員される予定だという。これは史上最大規模になるという。
 
 05年に行われた英・グレンイーグルズサミット開催時に、会場から約500㎞以上離れた首都・ロンドンでテロが発生した。また最近のテロは、一般の人が集まる場所、いわゆる“ソフトターゲット”を狙う傾向が強まっている。しかも、今回の伊勢志摩サミットはパリ同時テロや、ブリュッセル連続テロ事件以降、初のサミットとなる。日本がテロの標的になる可能性は、これまでにないほど高まっていると言えそうだ。サミット本番を控え、日本各地で万全の警備態勢が望まれる。(ライター・田野タクヤ)