一方で、爆食で最大の“被害”を蒙っているといわれるのがクルーズ船だ。香港紙『東方日報』(3月23日付)によると、地中海のクルーズ船会社は中国人乗客のあまりの食べっぷりに怒り、そして困り果てているという。長時間、集団でダラダラとしゃべったり、かけトランプをしながら食事をするため、朝食・昼食・夕食の間が途切れることはなく、一日中食事をサーブし続けなければならないというのだ。上陸地での爆買いで浪費するため、船内では安い食べ物やビュッフェしか利用せず、クルーズ船の利益率が圧迫されているのだという。

「欧米や日本人からのクレームが多いので、クルーズ船各社は、中国人観光客の急増に対し、さまざまな対応をとっています。まずブッフェレストランのキャパを縮小し、通常レストランのスペースを増やす。そうすれば中国人はビュッフェで食事をとって、部屋で食べるようになりますからね。また、スパやバーを潰してしまい、中国人専用のビュッフェを作る船もあるそうです。あえて中国人しか食べないお粥や火鍋がメインの中華レストランを作ってしまい、実質、中国人を“隔離”しようという作戦です。こうでもしないと、クルーズ船から中国人以外の客が逃げてしまいます」(クルーズ船事情に詳しい旅行ライター)

 各地で物議を醸す中国人観光客だが、一方で30代以下の若い層は台湾や香港の観光客と大差なくお行儀もいい。傍若無人でマナーの悪い層がいなくなれば、世界の見る目も変わってくるかもしれない。

(ライター・諏訪鴻仙)